【トヨタ ヤリス 400km試乗】なぜGRスポーツがない? ヤリスに感じた「もう一つの可能性」 トヨタ自動車のBセグメントサブコンパクト『ヤリス』で400kmほどホリデードライブを行う機会があったので、インプレッションをお届けする。 ヤリスの第1世代が登場したのは1999年。高コストが課題となっていたサブコンパクト『スターレット』の置き換えと本格的な欧州戦略車を持つことの一挙両得を狙ったもので、今日の欧州市場におけるトヨタの勢力拡大の原点のようなモデルである。日本では第3世代まで『ヴィッツ』と名乗っていたが、2020年にデビューした現行第4世代で日本でもヤリスにリネーム。同時に欧州モデルとの作り分けに踏み切り、日本・アジア・大洋州向けは全幅1695mmのトールボディ、欧州向けは全幅1750mmの低ルーフとなった。 ロードテスト車は1.5リットル直列3気筒ガソリンの最上位グレード「Z」で変速機はCVT。ドライブルートは東京を起点とした甲信越ミニ周遊で、総走行距離は429.0km。走った道路の比率は市街地3、郊外路5、高速1、山岳路1。常時1名乗車、エアコンAUTO。 最初にヤリスの長所と短所を5つずつ列記してみる。 ■長所1. 車重に対してパワフルな1.5リットルエンジン。2. ホイールベース中央付近にヒップポイントがあり、車両感覚がつかみやすい。3. バジェットカーながらそつのないインテリアの質感の作り込みとデザイン。4. 軽量で敏捷性そのものは高い。5. 全長が4m以内に収まっており、フェリーに乗る時は航送料金が安くすむ。 ■短所1. 前席優先のパッケージングとはいえ後席、荷室があまりに狭い。2. 実測燃費は旧型ヴィッツに及ばず。3. ステアフィールが良くない。オプションの185/55R16タイヤが合っていない印象。4. ハーシュネスの強い乗り心地。5. 運転席まわりの小物入れが不足気味。 では本題に入っていこう。日本版ヤリスはもともとタウンユースやカーシェアにターゲットを絞ったモデルで、遠乗りは使用目的外のようなもの。最近は軽自動車やサブコンパクトでも高いロングツーリング耐性を持つものが多くなっているが、ヤリスは安・近・短に徹しているという印象であった。良好な側方視界、丸いフォルムにも関わらず車両感覚がつかみやすい等々、タウンユースで重宝する特徴を多く持つ