【ヨコハマ ADVAN db V553 試乗】次世代プレミアムコンフォートタイヤの最適解…九島辰也 タイヤの進化が目まぐるしい。というか、これまで以上にパフォーマンスが求められるようになってきた。理由はクルマ自体の急速な進化だが、中でもEVに関してはそれなりの対応が必要になっている。瞬間的な太いトルクの立ち上がりを含め、内燃機関とは異なる特性があるからだ。走り以外では静粛性というのもポイント。なんたって“エンジン音”がごっそりなくなるのだからこれまでと同じとはいかない。 エンジン音がなくなると、聞こえなかった音や周波数が聞こえたり肌で感じたりする。走行中ドアミラーあたりで鳴る風切り音に「こんな音がするんだ」なんて発見をすることだろう。いくら風洞実験を繰り返して風の整流を作っても、消しきれない音はある。ロードノイズもそうだ。これまで聞こえにくかった“ゴーっ”という長い周波数のタイヤの転がり音が、EVになると気になる人が増えるかもしれない。 今回試した横浜ゴムの新タイヤ「ADVAN dB V553」はまさにそんな背景から生まれたといえる。BEVやプラグインハイブリッドに代表されるEV走行を鑑みて進化させた。なんたってdB(デシベル)と名付けられたシリーズなのだから、そこで本領発揮すること間違いなし。新型は2017年にリリースされた「ADVAN dB V552」の後継として誕生した。 さらにいえば、このタイヤはヨコハマタイヤが独自で基準を設けるEV向け「E+(イープラス)」の表示がサイドウォールに記載される。これは低電費や静粛性などEVに対応する技術を搭載していることの意味で、第1弾はADVAN Sport EVであった。今後商品ラインナップにこのマークが順次ついていくことは間違いない。 dBシリーズはプレミアムコンフォートタイヤということも付け加えておこう。つまりすべてのクルマを対象にしているのではなく、プレミアムなモデルに向けて開発されている。堅牢なボディ剛性の上に成り立つ静粛性、気密性が高いことを前提としているのだ。 よってADVAN dB V553の進化の内容は、静けさと快適な乗り心地を向上させるのはもちろんのこと、摩耗による静粛性とウェット性能の低下を抑えることにも注力された。タイヤメーカーとしてはトレッドが減ったら性能が極端に落ちたといわれないようにしな