後ろにエンジンを搭載し、後ろ足で地面を蹴るーー「ポルシェといえば911」。その特異なRRレイアウトは、ネガティブと言われながらも今や独自のアイデンティティとしてスポーツカーの代名詞となっています。
1963年の初代登場以来、クルマ好きはもちろん、ひいては中年にとっては永遠のアイドル的存在。そのステータスシンボルは空冷モデルや役付きモデルであればあるほど。
しかし一方で、空冷ポルシェは今や高嶺の花。いずれのモデルも相場や価値が上がり続け、“役付き”モデルは4桁万円が当たり前の相場感という、ご存じの通り入手困難がずっと続いています。
特にポルシェ911における最もフレンドリーなモデル、タイプ996の911カレラでさえ、およそ220万円からというプライス(原稿執筆時点、編集部調べ)。とはいえ、クラシックモデルに指定されているタイプ996は、今後の維持を鑑みると、今買うべきコスパ最高モデルはタイプ997前期のポルシェ911ともいえます。
そんななか今回、中年代表として読者諸兄にお薦めするのがこちらのモデル。東京都世田谷区の中古車店「グラーツ・オートモビール」で販売中のポルシェ968。
マニアックな存在として知られるポルシェ水冷最後のFRスポーツカーで、911のグレードピラミッドに属することなく、さらに街中911マウンティングを気にせず乗り続けられる(笑)! クルマ好き中年にとってはエンスー的存在で、今じゃ911よりもツウぶれる一台だと勝手に思っています。さらにこちらの販売車両はMT! 所有するだけでよほどのことがない限り968の価値は下がることはないでしょう。
残念ながら今回は、車検なし車両のため、試乗は叶いませんでしたが、本気になってポルシェが作ったFRスポーツカー、ポルシェ968。探してもなかなか出てこないだけでなく、もはや絶滅危惧寸前の希少モデル。取材時の2024年5月、日本市場で流通しているポルシェ968は3台。そのうち2台はティプトロニックで、MTはこれのみでした。気になる中古車価格は600万円。ウン年前は半額だった、とかいう野暮はやめましょうね。
累計生産台数100万台を突破したポルシェ911に比べると、ポルシェ968はわずかに1万4000台が製造されたのみ。しかも日本市場に残る1台のマニュアルトランスミッション車。600万円台から手にはいる個性希少性を楽しめるという奇跡。中年の“乗らずギライ”にこそ、ぜひ乗っていただきたい一台でした!
グラーツ・オートモビール
東京都世田谷区等々力 2-36-6
03-3702-0066
Text:ダニエル利樹
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